ブダペストの高級靴店・ヴァーシュ
Fine shoe maker at Budapest VASS
ブダペストが誇るハンドメイド・シューズ、ヴァーシュです。もはや日本の靴好きの間では、知名度も高いですね。オーナーのラズロ・ヴァーシュ氏は、ゲオルグ・マテルナ氏、ブルノン・カミンスキー氏、ヨージェフ・コヴァーチ氏と同様、国際靴職人技能コンクールで金メダル獲得歴があるそうですね。
価格は89,000フォリント(約53,000円)。ロベルト・ウゴリーニとのコラボレイション・モデルは110,000フォリント(約66,000円)。コードヴァン・シューズは115,000フォリント(約69,000円)との事でした。
そしてビスポークの価格ですが、「やってない」というお返事でした(04年12月時点での話)。これは、本当に止めてしまったのか、僕が英語が苦手のため聞き方が悪かったのか、注文客が多いため一時中止しているのか、いずれかだと思います。

靴職人の高橋孝さんは、1996年ごろにブダペストへ旅行されて、その際に、このヴァーシュも見かけたそうです。
「良い出来だったんで、一足買おうかと思ったよ」
この道50年以上の高橋さんから見ても、ヴァーシュは高評価でした。ただ、高橋さんのお話だと、その当時の価格は、「計算が違ってなければ3万円以下」との事。現在は5万円以上と、ハンガリーの物価の上昇と、ヴァーシュ自体も値上がりもあったのでしょう。少し悲しいですね(笑)。でも、クォリティを考えると、十分、お買い得です。

※ 5~7枚目の画像をクリックして頂きますと、拡大画像が出ます。



ヴァーシュの店舗

ヴァーシュの店舗です。住所は1052 Budapest, Haris koz 2。ペスト地区の繁華街であるヴァーツィ通り近くにありますが、何しろ店舗が小さいので見落とさないように注意!です。
ヴァーシュのサンプル

フルブローグ・ダービーのモデルネームは「Budapest」。これがヴァーシュにおける代表作のようです。
周囲が真上にグッとせり立ち、つま先がわずかに盛り上がる形状は、ハンガリーの靴ならではのもの。このラストネームも「Budapest」と言うそうです。カタログによると、「もっとも足にフィットし、コンフォートなラスト」だそうです。
ヴァーシュのサンプル

このように並ぶと、ヴァーシュにはラストが複数あるのがご確認頂けると思います。
一番左のダービー・プレーントウのモデルネームは「London」。アイレットは2~6まで、数種類あるそうですが、5アイレットがもっともクラシックとカタログにあります。
左から二つ目、セミブローグ・バルモラルのモデルネームは「Old English」。
左から四つ目のダービー・キャップトウのモデルネームは「Theresianer」。
左奥にあるUチップのモデルネームは「Norweger」。U字ステッチもハンドで行うそうで、縫い合わせた断面の処理も丁寧ですね。これはウィーンのゲオルグ・マテルナにも、同じ処理をされたモデルがあります。カタログによると、
このUチップとBudapestラストとの組み合わせは「特にコンフォート」との事。Budapestラスト独特の、せり上がる角度の部分がU字ステッチで繋がれるため、ラストの形状が反映されやすいせいでしょうか。もちろん、Budapestラスト以外のラストで、作成する事も可能です。
他にも、「Slipper」と名の付いたペニー・ローファーもあります。
ヴァーシュのサンプル

6アイレットのモデルもあります。
ヴァーシュのサンプル

エッジの利いたチゼルトウ……伊勢丹新宿店でも販売されております、ロベルト・ウゴリーニとヴァーシュとのコラボレイション・モデルですね。僕の見る限り、このコラボレイション・モデルは出し縫いもハンドのようで、極めて稀少なフルハンドメイドの既製靴!です。ただし、ダブルネームではない、普通のヴァーシュは分かりません。ウゴリーニとのダブルネームは値段が高く設定されておりますが、これは出し縫いがハンドのせいか、もしくはウゴリーニのデザイン料のせいか、どちらかでしょう。
ウゴリーニ by ヴァーシュのサンプル

こちらも、ロベルト・ウゴリーニとヴァーシュのコラボレイション・モデル。
ウゴリーニ by ヴァーシュのサンプル

左に同じくです。
ヴァーシュのサンプル、ラバー・ソール

雨用としてヴィブラム・ソールの靴もあります。もともとのラストがゴツイだけに、分厚いソールともしっかりマッチしておりますね。他にも夏用として、通気性確保にアッパーに穴を開けたり、メッシュにしているモデルもあります。
なお、上にあるセミブローグ・ダービーのモデルネームは「Alt wien」。カタログによると、このモデルはウィーンの工房によるプロデュースのため、この名がついたとの事です。昔、ヴァーシュはウィーンに工房を持っていたということでしょうか?それとも、現在もあるのでしょうか?もしくは、ウィーンのどこかの工房と業務提携をしていたのかもしれませんね。
ヴァーシュのサンプル

反射しているので見辛いですが……コードヴァン・シューズのサンプルです。ゴツイ、良い面構えしてますね~。コードヴァンのタンナーは、やはりホーウィン。
ヴァーシュのロゴ

ヴァーシュのロゴ。
ウゴリーニ by ヴァーシュのロゴ

ロベルト・ウゴリーニとのコラボレイションモデルのロゴ。
VASS MAP

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オマケの話。ブダペストのブダ地区には、マムートと言う大型ショッピング・センターがあります。そこの2階(ヨーロッパ表記は1階)にある「ライナイ・ツィーポ」という靴屋さんにて、グッドイヤー・ウェルテッド製法によるパターン・オーダー・シューズが販売しておりました。サイズはゲージ靴を履いて選択。革にスタイルも指定できます。日本の宮城興業さんのシステムと似ておりますね。
お値段は310ユーロ。西欧の既製靴価格と比べると割安感はあるものの、ハンガリーのハンドメイドシューズの価格、ハンガリーの物価、そして日本製のパターン・オーダーシューズの価格を考えると、お買い得とは言い難いかな?というのが正直な感想です。




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