台中の高級靴メイカー 神匠
Fine shoe maker at Taichung Ingenuity
神匠初期のサンプル・シューズ

2010年9月30日、池袋で行われたISF(ウェルネスとファッションの国際靴・雑貨見本市)を見学に行った僕は、非常に高品質で、しかもスタイリッシュなドレスシューズを発見しました。上が、その時の画像になります。出展メイカーさんは日本企業ではないようで、ご担当者さんにお尋ねしたところ、なんと
台湾製との事。台湾で、こんなに上質なドレスシューズを作っているメイカーがあるとは!驚いた僕は、さらにこれをおいくらで販売予定か聞いたところ、5万円ほどと、クォリティと比して、優れたコストパフォーマンスも魅力的に思いました。興味がわいた僕は、さらに詳しいお話を伺いました……。

このメイカーは台中にあり、社名は
turnright(ターンライト)。元々、K-SWISSやスケッチャーズと言った、スニーカーのOEM生産をしていたそうですが、これからは高級靴の分野に進出するべく、ハンドメイド・シューズの職人さんの養成を開始。そしていよいよ、日本での本格展開を目指して、見本市へも出展したとか。

その台中の工房を取り仕切る専務さんは、英国のビスポーク・シューズ職人、エリック・クックさんから数ヶ月間、製靴の技術研修を受けたそうです。さらに工房には、ノルウェイの靴職人さんが年に3・4回ほど定期的に訪れ、そのつど1ヶ月ほど滞在し、技術指導を行っているそうです。社長さん自身が底付け職人出身のため、作りにはこだわりたい意向があるようですね。また、台湾本国では、オールデンやエドワード・グリーンの代理店も行うそうです。

やがて、11年1月に、日本法人名も決まりました。"神岡"です。そしてブランド名は、中国名で"神匠"(しんしょう)、英語名で"Ingenuity"(インジニアティ)です。

以下から詳しく、その台湾発高級靴、神匠をご紹介させて頂きます。ただ、現在(11年11月下旬)はまだ準備段階のため、実際の日本展開時とは、違う点があるかもしれない事をご了承下さい。

※ 画像をクリックして頂ければ、拡大画像が出ます。


神匠のサンプル・シューズ棚

上は11年1月26~28日に国際展示場にて開催された見本市、「JFW INTERNATIONAL FASHION FAIR(IFF)」での、神匠の写真になります。欧州製と見紛うばかりのサンプル・シューズですね。製法は色々可能なようですが、こちらで出展されていた靴は、すべて九分仕立て。つまり、ハンドソーン・ウェルテッド製法と、手が込んでいます!

ただ、アウトソールに入る刻印は、ハンドソーン・ウェルテッド製法の場合でも、"goodyear welt"(グッドイヤー・ウェルト)となる予定とか(笑)。



神匠のサンプル・シューズ

サンプル・シューズの一つ。ジョン・ロブ・パリのジャーミンⅡとよく似たデザインですね。しっかりとしたラインを描く立体美は、確かな釣り込み技術の証。アッパー素材も上質で、大半がアノネイを使用しているそうです。底材はイタリア製。


神匠のサンプル・シューズ

スタイリッシュなUチップです!U字ステッチの両サイドに、さらに飾りステッチを入れる意匠は、なんとなくイタリアの靴メイカーが行いそうですね。
神匠のサンプル・シューズ

バックル付のサイドエラスティックと、オリジナリティあるデザインにも積極的に取り組んでおられます。
神匠のサンプル・シューズ

さも英国靴のようなストイックなデザインもございます。
神匠のサンプル・シューズ

こちらも英国的なスウェードのフルブローグですが、7アイレットで一味効かせていますね。スウェード素材は、すべてチャールズ・F・ステッドを使用しているそうです。
神匠のサンプル・シューズ

7年前に製作したと言う、カール・フロイデンベルグとチャールズ・F・ステッドのスウェードによる、コンビのレースアップ・ブーツ。
神匠のサンプル・シューズ

こちらもカール・フロイデンベルグとチャールズ・F・ステッドのコンビシューズです。ただ、フロイデンベルグはさすがに在庫が少ないそうで、実際にラインナップされる可能性は低そうです。
神匠のサンプル・シューズ

赤と黒の配色、7アイレットとパターンの切り替えしに、遊び心を感じますね。赤の革はヌォヴァ・オズバ、黒の革はアノネイを使用。神匠さんが、革に濃淡を出す仕上げを行う場合、色を乗せたり抜いたりしやすい、ヌォヴァ・オズバを用いるそうです。
神匠のサンプル・シューズ

ベルルッティの雰囲気が漂う、美麗なデザインです。こちらの靴も、ヌォヴァ・オズバを使用。
神匠のサンプル・シューズ

こちらもヌォヴァ・オズバ使用モデルです。淡い色合いとシンプルなデザインは、春夏に履きたくなりますね。
神匠のサンプル・シューズ

珍しいグレイベースに、黒を入れる仕上げ。やはり革はヌォヴァ・オズバ。デザインによってタンナーも変えてるのも、神匠さんの特徴ですね。
神匠のサンプル・シューズ

ベルルッティのタトゥアージュを思わせる、ハンドペインティング仕上げ。アッパー革はアジアやスペイン産で、ヴェネツィア・レザーの如く、相当な柔らさで、かつ色が入れやすい革のようです。こちらの絵は手作業のため、価格もやはりお高くなるとか。
神匠のサンプル・シューズ

こちらもハンドペインティング仕上げ。これらハンドペインティングの靴は、以前に故宮博物院(台北)で開催された、イヴェントにも展示されたそうです。


神匠のサンプル・シューズ

スウェードのホールカットに、刺繍による仕上げと、凝っていますね。ソールの絵も、もちろん手仕上げです。
専務さんご着用の神匠

こちらは、台湾の工房を取り仕切る専務さんがご着用されていたブーツ。このような、モード感が漂うデザインもございます。
神匠のオールデン風新ラストによる靴

さらにその後も、神匠さんの日本展開準備は着々と進み、現在は台湾に工房を残しつつも、量産体制を整えるために、ラオスにも工場を設立。そのラオス工場における技術指導者には、60代のヴェテラン日本人職人さんも含まれているそうです。さらに、お若い日本人職人さんも、今後のために研修を受けているとか。

そして、当初は5万円ほどで販売予定だった神匠さんも、工場をラオスにした事により、なんと
3万円台にまで価格を下げられる予定とか。

なお、上画像は最近になって開発された、新ラストによるサンプル・シューズ。社長さんご自身の足型を基に開発されたそうで、ご覧のとおり、オールデンを思わせるフォルムですね。

何でも、神匠さんの狙いとしては、"高級靴の無印良品"だそうで、会社員の方が買いやすい価格帯で、しかも高品質、そして多くのニーズに対応できるよう、デザインのヴァリエイションが豊富なのです。

神匠さんは日本だけでなく、中国とシンガポールでも展開予定。将来が楽しみなブランドですね。





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