シュランクのスタンプ
STAMP OF SHRUNK
ダイヤモンド・ブラック ロンドン・シュランクのスタンプ

先日、服部晋さんのBlogを読んでいたら、「ロンドン・シュランク」について書かれておりました。実は、僕が所有しているビスポーク用生地のいくつかに、この「LONDON SHRUNK」のスタンプが押されていまして(上画像はその一つ)、「これって何だろうね?」と、かねてより思っておりまして、ようやくその謎が解けました(笑)。しかし、改めて「ロンドン・シュランク」でネット検索してみると、結構ヒットしますね。僕が調べるのを怠っていただけで、割と知られている手法だったのですね(笑)。

冒頭画像のスタンプには、「BOTANY WOOL」とも書かれておりますが、これは、オーストラリア産メリノ・ウールの中でも、上質なウールを指すのだそうです。由来は、上質なメリノ・ウールの産出地である、オーストラリアのボタニイ湾から来ているとか……。「DRESS COATING」とも書かれておりますが、DRESS COATとは礼服や燕尾服の意味で、COATINGとは上着用生地の意味ですね。


ダイヤモンド・ブラック ロンドン・シュランク生地

冒頭で示したロンドン・シュランクのスタンプが押された生地。自己測定目付は450gほど。色は濃いグレイに見えますが、実際は黒です。って、画像じゃ全然質感が伝わらないですし、黒だと特に分かりませんね(笑)。生地メイカー名は分からないのですが、当時(おそらく70年代)、チクマテキスタイルが輸入していた生地で、品番は「B5000」となっております。とは言え、その品番も英国生地メイカーによるものなのか、チクマテキスタイルによるものなのか、分からないのですが……。





スキャバル・シルヴァーキャッシュ、ロンドン・シュランクのスタンプ

こちらはスキャバルのカシミア混生地、「シルヴァーキャッシュ」に押されていた、「LONDON SHRUNK」のスタンプ。LONDON SHRUNKの後に、Byなんとかと書かれておりますが(読みづらい……)、これはおそらく、シュランク加工を行った業者の名前でしょうね。


スキャバル・シルヴァーキャッシュの生地

こちらも参考までに、スキャバルのシルヴァーキャッシュの生地写真です。色はチャコールグレイ。自己測定目付は340gほどと、他のシュランクのスタンプが押されてる生地と比べて軽く、さらにカシミア混ですから、しなやかさがありますね……。


スキャバル・シルヴァーキャッシュの耳

シルヴァーキャッシュの耳。





ジョン・テイラー ロンドン・シュランクのスタンプ

続いて、ジョン・テイラーの生地に押されていた、「ロンドン・シュランク」のスタンプ。


ジョン・テイラーの生地

そして生地写真です。かすれた感じの茶色に、水色のストライプ入り。自己測定目付は430gほど。

ネットや書物で、ロンドン・シュランクについて調べていると、「本当のロンドン・シュランクは……」と言った具合に、"本当の"と前置きされた上で、ロンドン・シュランクの説明が書かれていたりします。つまり、現在では、"本当ではない"ロンドン・シュランクが主流と言う事でしょうか……。そうなると、僕が掲載した生地も、"本当の"ロンドン・シュランクではない可能性もあるわけで……って、僕が疑いすぎかしら?(笑)




ルーベンガウント ソロリー・シュランクのスタンプ


ルーベンガウント ソロリー・シュランクのスタンプ

手持ちの生地の中に、ロンドン・シュランクではない、別のシュランクのスタンプが押された生地がありました。上画像がそれで、「THOROUGHLY SHRUNK」とありますね。ソロリー・シュランクと読めば良いのでしょうか?日本語訳すれば、「徹底的に縮ませた」になりますね。「FAST DYE」ともありますが、これは「色落ちしない染色」と言う意味でしょうか、それとも、「素早い染色」?「FAST COLOUR」は「色落ちしない」の意味みたいですね。


ルーベンガウント ソロリー・シュランクのラベル


スタンプだけでなく、ラベルにも「THOROUGHLY SHRUNK」とありました。


ルーベンガウントのプレート


生地メイカーはルーベン・ガント&サン。


ルーベンガウントの生地


参考までに、生地画像です。色は黒。自己測定目付は510gほど。


ルーベンガウント ソロリー・シュランクのスタンプ


そしてこれにも、シュランク加工を行ったと思われる、業者のスタンプがありました。切れていて読めませんが(笑)。




さて、このシュランクの押印がされた4つの生地には、五つの共通点があります。
1:英国製
ロンドン・シュランクと言う名称からして当然なのでしょうけど、ソロリー・シュランクも含めて、全て英国製生地です。でも、他国の生地メイカーさんでも、こう言ったシュランク加工、もしくは類似の加工を行っている可能性は十分考えられますね。

2:高密度
シュランク加工だけあって、どの生地も確かに高密度です……が、スタンプが押されていなくとも、同等か、それ以上に高密度(と思える)な生地はあります。それに、スタンプが押されていなくとも、シュランク加工が行われている英国製生地もあると思いますので、スタンプの有無は、それほど気にする事もないかなと思っています。プロの方が見れば違うのかもしれませんが、少なくとも素人の僕は、スタンプを見る事なく、シュランク加工が行われているか否か、判別はする事はできません。もしかしたら、これらの生地、実際に服に仕立ててみて、使用してみれば、僕でもその違いが分かってくるのでしょうか……?

3:推定製造時期が70年代以前。
80年代以降製造と思わしき生地に、シュランクのスタンプが押されているのを見た事がありません(シュランク以外のスタンプならあります)。シュランクのスタンプを押すのは、英国での古い習慣と言う事でしょうか?
もし仮に、80年代頃から、生地にシュランク加工を行っているとしても、シュランクのスタンプは押さなくなったのだとしたら、やはりシュランクのスタンプの有無は、それほど気にするところではないと言う事になりますね。

4:生地表面に毛羽立ちを感じる。
この毛羽立ちは、この4つの生地が、たまたまそう言う仕上げ(いわゆる、ミルド仕上げ?)だったと言う可能性が高そうですが、もしかしたら、シュランク加工のためかもしれません?毛羽立ちにもそれぞれ差がありまして、B5000とルーベン・ガント&サンが、毛羽立ちが分かりやすく、あとの二つは比較的滑らかです。

5:無骨な風合い。
風合いも、艶やかな感じはなく、無骨な雰囲気です。こう言った風合いは昔の英国製生地の特徴かもしれませんが、それを考慮しても、無骨感が分かりやすい方です。この風合いもシュランク加工のためなのか、経年変化(劣化)とか、他の理由によるものなのか、さて、どうなのでしょう?

以上、4つの生地の共通点を、とりあえず挙げて見ましたが、どれも素人の僕が見た限りの、極めて狭い範囲の話です。別の事例は十分に考えられますし、特に3・4・5については、もっと多くのシュランク加工生地を調べてみる必要がありますね。






Shoes top
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送