ウィーンの注文靴店 マフテイ フランクフルト編
Bespoke shoe maker at Wien MAFTEI
アレクサンドル・マフテイ親方

2010年3月20・21日、ドイツのヴィースバーデンにて開かれた靴業界の見本市にて、ウィーンのビスポーク・シュー・メイカー、マフテイも出展しておられました。脇に立つのはマフテイの棟梁、アレクサンドル・マフテイ親方。


マフテイのサンプル・シューズ

表情も色彩も豊かなサンプル・シューズたち。04年に見た時と比べて大分洗練され、見栄えするようになっていたのが印象的です。
マフテイのサンプル・シューズ

エキゾチック・レザーや鮮やかな色を好み、どこかクセはあるものの上品に仕上がるのがウィーンのビスポーク・シューズの特徴です。そして、サンプルにホールカットが多いのが目に付きますが、これらをよく見てみますと……。
マフテイのホールカット マフテイのホールカット

一見、ごく普通のホールカットです。左のホールカットの履き口周りが別色になっているのが、少し変わっているぐらいでしょうか。しかし、驚くべきはヒールをご覧下さい。

マフテイのホールカット、シームレスヒール マフテイのホールカット、シームレスヒール

普通はヒールに入るはずの、縫い目がございません。なかなかお目にかかれない、
シームレスホールカットです!アッパーに継ぎ目がまったくないため、パターンで立体を作り出せず、釣り込み技術だけで立体成形しなくてはならない、かなり高い技術が要求されるスタイルです。サンプルにあるカーフ素材のホールカットは、全てこのシームレスホールカットで作られておりました。
マフテイのエレファントホールカット マフテイのクロコダイルホールカット

こちらは、左は象、右はクロコダイルのホールカット。

マフテイのエレファントホールカットのヒール マフテイのクロコダイルホールカットのヒール

そして象革までもシームレスホールカットです!ただ、さすがに硬いクロコダイルについては、ヒールに継ぎ目をいれておりました。また、サンプルにはガルーシャのホールカットもございましたが、こちらも同様に硬いため、ヒールに継ぎ目有でした。

しかし意外だったのは、この見本市にてシームレスホールカットに驚いていたのは僕ぐらいで(笑)、業界関係者の皆様は、とりわけ気付いてもいなかった事です。
「見て下さい。これシームレスホールカットですよ」
「え?あ、そうだね。ほう〜」
「普通、ここ(ヒール)に縫い目が入りますよね」
「うん、そうだね」
僕がでしゃばって、会場にいた欧州やアメリカの靴職人さんに声をかけても、随分アッサリした反応でした(笑)。
でも確かに、シームレスホールカットは技術は要するものの、機能的な意味はなく、職人さんの技術誇示、または注文主さんの満足感を満たすぐらいしか意味はないので、その反応も当然なのかもしれません。
マフテイのUチップ

Uチップも美しいですね。
マフテイの3アイレットホールカットハイヒール

普通なら無骨な印象を受けるハンガリアンラストですが、2アイレットホールカットでシンプルに、そしてレースステイの間隔を広くとり、かわいらしい表情に見せておりますね。僕が個人的に、もっとも秀逸と感じたデザインです。そして、こちらのホールカットも、もちろんシームレスです。
マンフレート・デンゼル

マフテイは2010年現在、ドイツのベルリン、フランクフルト、ハンブルグ、そしてルーマニアのブカレストでも入手できます。上画像はそのフランクフルトでマフテイを取り扱うお店、Manfred DENZEL(マンフレート・デンゼル)です。住所はHochstr.39, 60313 Frankfurt am Main。Uバーン6・7番線のAlte Oper駅から近いです。
このお店は靴修理がメインなのですが、オールデンやトッズと言った高級既製靴のユーズド品も販売しており、マフテイは既製とビスポーク、両方ございます。ただ、マフテイのビスポークは常時受け付けているのではなく、月の下旬に一度、ウィーンからアレクサンドル・マフテイ親方の息子さん、ルシアン・マフテイさんがやって来て、注文をとる形式です。訪問日については、マフテイ公式サイトに記載がございます。



大きな地図で見る


マンフレート・デンゼルでのマフテイのサンプル

店内にあるサンプル・シューズ。ウィーンの靴らしく、フォルムは無骨ながら、雰囲気は上品ですね。
マンフレート・デンゼルでのマフテイのサンプル

ウィーンのルドルフ・シェア&ゾーネがオリジナルと言われる、センターシームのオックスフォードもありました。
マンフレート・デンゼルでのマフテイのサンプル

紅に近いバーガンディのサイドゴア。派手な色を使うのも、ウィーンらしさですね。
マンフレート・デンゼルでのマフテイのサンプル

もちろん、スウェード素材もございます。下段右にある靴は、キャップの切り替えしが面白いですね。
マフテイのビスポーク価格は、まずは初回の測定に100ユーロ。そして靴は、シュー・トゥリー込でなんと一足690ユーロ!さらに、スリッパや注文ベルトも作っておられるようです。また、底付けは木釘による製法が標準でして、糸で縫う場合は別料金のようです。

04年よりも値上がりしておりますが、それでも驚異的な安さです。マフテイは海外展開も積極的なようなので、いずれ、日本でもお手頃価格で買えるようになれば、嬉しいですね。




Shoes top
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送