ウィーンの注文靴店・マフテイ
Bespoke shoe maker at Wien MAFTEI
04年11月10日、ウィーンの中心街(1区)をブラブラし、洋服屋さん、靴屋さんを見学する僕。やはりと言うか、ウィーンの1区には格式高そうなショップ(ブランド)が多いのに驚く。そして、デザインはクラシックかつスタイリッシュ!かなり惹かれるものがある……。日本ではほとんど紹介されていないのも、何となく魅力的。
その中でも、特に格式高そうな生地屋さん?を発見!店名は「Wilhelm Jungmann&Neffe」。早速入店してみる僕。

店内はサヴィル・ロウのアンダーソン&シェッパードにも似た雰囲気で落ち着かない……。店内をウロウロする僕ですが………
あれ?…………


見た事ないメイカーの靴を発見!!

マフテイ


ふーむ……
マフテイ

ふーむ……
マフテイ

ふーむ……
マフテイ

ふーむ…………
なかなかいい感じ!

製法はハンドソーン・ウェルテッド。出し縫いがハンドかどうかは判断つかないけど、細部も綺麗な仕上がり。一概にハンドソーン・ウェルテッド製法と言っても仕事が雑なのもあるが、これはそんな事ないぞ〜!中には木釘を使用しているモノもあり、まさに東欧靴!

どうやらこの靴、ブランド名は
「MAFTEI」というらしい。

ここでピン!と来た僕。
「ひょっとしたらこれ、ランツCを製造してたメイカーじゃないの?」

ランツC……イギリス人であり、クラークス一族であるランス・クラーク氏がプロデュース、製造はオーストリアで知られるブランドだ。展開されていたのは99年秋〜00年春頃までというわずかな期間だったが、革はデュプイ、製法も9分仕立てと非常に良い出来だった。それでいて、定価は79,000円とリーズナブル。デザインは英国風ながら、甲高のラストはさもオーストリア靴と思わせた。
このランツC、日本での輸入元はキャンディだったが、そのキャンディの社員さんから、僕はこんな話を聞いた事がある……。

「ランツCの工房はオーストリアにある大きいブティック(テイラーだったかな?)の奥にひっそりとあって、看板も出さず、数人の職人さんのみで製作されている」

で、この「MAFTEI」もテイラー?生地屋さん?に置いてある……。それで、ランツCかな?と繋がったわけです。MAFTEIの値段はクォリティと比してえらく安い。ユーロ導入前は、おそらくもう少し安かったろう。これなら関税を考えても、日本で79,000円で売る事もできなくはない……。

「すいません、この靴って、このお店で作ってるんですか?」
お店の人に聞いてみる僕。
「いえ、違いますよ。この靴はここにあります」
あ、あれれ?工房がここにないという事は、ランツCの製造元ではないのかな?このお店でも、MAFTEIの購入は可能みたいだけど。
お店の人は、僕にMAFTEIのショップ・カードを下さった。裏には簡単な地図が書かれている。どうやらMAFTEIの店舗、この1区からそう離れてはいないようだ……。

その日の夜、僕はメトロの通路内で、こんなショウ・ウィンドゥを発見しました……。
メトロ内にて、マフテイ

マフテイだ……。(KAさんも見かけたそうです)
メトロ内で、こう堂々と看板を出してるという事は、マフテイ、ウィーンではまずまずメジャーな靴屋さんなのかな?僕は全然知らなかったけど……。

そして、その翌日、僕はマフテイの店舗を見つけました!場所はウィーンの4区でした。
マフテイのショップ

マフテイの店舗。ちょっと見つけにくいところありました。全然関係ない話ですが、これを撮影中、足元の注意がおろそかになった僕は、思いっきり踏んでしまいました……他のヨーロッパの都市の例に漏れず、ウィーンも犬の○○は多いです!!
マフテイのサンプル

ショウ・ウィンドウに飾られている靴。
マフテイのサンプル

こちらのブーツはレディースです。
マフテイのサンプル

こちらも同じくレディースです。
マフテイの価格表

マフテイのメンズの価格表。500ユーロからビスポーク可能というのが驚きです!コードヴァンは+250ユーロ。
マフテイの価格表

こちらはマフテイのレディースの価格表。ビスポークは350ユーロから。
お店を外からひととおり撮影した後、入店する僕。店番をしていたおばさんに話しかけますが……英語が通じません。するとおばさんは、気を使って下さり、娘さんを呼んで下さいました。どうやらこのマフテイも、バリントと同様、家族経営のようです。ところが、この娘さんも、英語は少ししか通じません。どうにかして店内にある靴をカメラに収めたい僕は、筆談で意思を伝えました。

最初は僕の事を怪しい目で見ていたマフテイの母娘さんも(笑)、やがて僕の意思を分かって下さり、笑顔で撮影に応じて下さいました。まったく、僕のような靴オタクは世界の大迷惑ですね〜。皆様、日本人のイメージを悪くしちゃいまして、ごめんなさい。
マフテイのサンプル

こちらは店内に飾られている靴です。
マフテイのサンプル
マフテイのサンプル

結構ピンボケしちゃっていますね。すいません……。
マフテイはホームページもあるようです。そのサイトによりますと、この4区以外に、1区にもショップがあるようです。後から知った話ですが、この4区のショップはアトリエとの事。



そして、僕が日本に帰国後に知った事ですが、なんと六義の花川劉一さんが、このマフテイの上顧客だそうです。マフテイのサイトにあるガルーシャのローファーは、この花川さんがご注文された品との事。

さらに、花川さんのお話や、マフテイのサイトから分かった事なのですが、このマフテイ一家もバリント同様、ルーマニア出身だそうです。

マフテイのサイトによると、代表のアレクサンドル・マフテイ氏は88年にルーマニアをあとにし、94〜96年にかけて、ある衣料品店(つまり、「Wilhelm Jungmann&Neffe」かな?)を通じて、マフテイ・シューズを販売していたとの事。この際、マフテイメイドである事は伏せられていたようです。
そして96年に、マフテイの名でショップをオープン!つまり、ウィーンでは新進の注文靴店になりますね。

面白いのが、これまたサイトからの受け売りですが、ライニングにゴートスキン、或いはリネンを用いるようです。ライニングにゴートスキンは稀に見かけますが、リネンは珍しいのではないでしょうか?リネンの方が、キャンバスより吸湿性は高そうですよね。
あと、このマフテイではカタログも頂いたのですが、素材が「BOX CALF」と「LONDON CALF」と、カーフも区別して表記されておりました。同じカーフでも、英国産とドイツ産(ポーランド産?)で、使い分けしているという事でしょうか。
もう一つ目に付いたところでは、僕がマテルナで注文したフルブローグと同一デザインが、このマフテイにもありました。



最後に余談です。ランツCについて。
ウィーンでは、いくつかのテイラー、ブティックを見学しましたが、ハンドメイド・シューズを取り扱っているのは、この「Wilhelm Jungmann&Neffe」だけでした(僕が見た限りの話です)。果たしてマフテイが、ランツCの製造元なのかどうか?
当初は、ランツCはマフテイ製?と考えた僕ですが、細かなディテールが似ていないので、今では違うと考えております。何より、ランツCの代表的仕様の一つ、腰革一枚によるシームレスヒールが、このマフテイにないんですよね……(マフテイもやろうと思えば、腰革一枚によるシームレスヒールはできるのでしょうけど)。

個人的には、サン・クリスピン、或いはその代表のマイケルさんが、ランツCと関わりがあるんじゃ?と考えております。サン・クリスピンのオフィスはウィーンにあります。また、サン・クリスピンはボノーラと繋がりがあり、ボノーラはジョン・ロブ・パリと繋がりがあり、ジョン・ロブ・パリはキャンディとつながりがありますからね……。考え方がちょっと強引かしら?
色々御託を並べましたが、結局のところ、真相は分からずじまいです。オーストリアには、他にもハンドメイド・シューズの工房はありそうですしね。失礼致しました。


※ 1〜5・8〜11枚目の画像をクリックして頂ければ、拡大画像が出ます。なお、画像の一部はKAさんよりご提供頂きました。KAさん、どうもありがとうございました。


MAFTEI MAP

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