ワルシャワの注文靴店 ヤン・キールマン
Bespoke shoe maker at Warszawa JAN KIELMAN |
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ポーランドの首都、ワルシャワでは、ビスポーク・シュー・メイカーを3店訪ねましたが、最も高級感があり、最もインターナショナルなお店が、ここ、ヤン・キールマンです。ポーランドは英語通用度がイマイチな国なのですが、ここで店頭に立っている方は、皆様、英語が話せます(店頭に立っていない職人さんは不可)。店内もひときわ豪華です。 サイトによると、ヤン・キールマン2代目の方は、スイスのバリーに勤めていた事もあるとのこと。 ビスポークのラストは木製。ちょっと驚くのが、サイトにて自己採寸によるオンライン・オーダーを受け付けている事ですね。 アッパーに使用するカーフは、ポーランドはもちろんの事、イギリス、イタリア、オーストリア、ドイツ、フランス、イタリアと様々な国のものが揃っているようです。それぞれ特色があって、使い分けをされているのでしょうか?ちなみにポーランドは牧畜が盛んで、ビーフ・ステーキが安くて美味しいです(笑)。 ゴートスキンはイタリアかフランス産。コードヴァンはアメリカ産との事ですので、やはりホーウィンでしょうか。 完成までは、僕がお話を伺った時は2〜4週間ほどとの事でしたが、サイトにはオンライン・オーダーのせいか?3〜5週間と書かれております。いずれにしても、早いですね。 価格はポーランド産カーフ使用の短靴で、2,000ズウォティ(約7万円)〜、ユーロの場合は500ユーロ〜との事でした。クロコダイル使用の場合は+360ユーロ、コードヴァンは+250ユーロ、蛇とリザードは+190ユーロ。これはワルシャワのビスポーク・シュー・メイカーの中では最も高い価格設定なのですが、他国と比べたら、やはり安いですね。 シュー・トゥリーはオーク・ウッド製は35ユーロ、シダー・ウッド製は45ユーロ。価格の差を考えると、シダーの方が良質という事でしょうか?シダーだと防臭効果は高そうですね。乗馬靴のシュー・トゥリーは90ユーロ。仮縫いはないようです。 ※ 7〜16枚目の画像をクリックして頂きますと、拡大画像が出ます。 |
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住所はul. Chmielna 6, Warszawa。靴だけでなく、入り口のドアに「Barbour」と書かれているとおり、ショップの奥ではバーブァーも販売されております。ポーランドで、西欧の高級服飾品を取り扱っているのは極めて珍しいです。 店内には靴雑誌がいくつか置かれておりまして、そのうちの数冊は、「最高級靴読本」や「Men's EX」といった日本の雑誌でした(笑)。 「これらの雑誌から、注文したい靴を選んでもOKさ。同じものを作るよ」 そう説明して下さる、現当主の4代目、マチエイ・キールマンさん。ツィード・ジャケットがよくお似合いの、オシャレで長身、陽気な、カッコ良いお兄さんでした。 |
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さすがは120年以上続く老舗!といったところでしょうか。展示されているサンプル数は、ロンドンのジョン・ロブにも匹敵する多さです。上画像はその中の一部でして、ブダペストやウィーンの靴に似た重厚なスタイルが主流のようですが、細身の靴も少なくなく、シェイプは柔軟に対応できる様子でした。 そして何と言っても、デザイン、素材、色のヴァリエイションが非っ常〜に豊富!メンズ・ドレスシューズのデザインに、まだこれほどの可能性があったとは!変幻自在のそのデザイン力に驚かされます。全てお見せできないのが本当に残念!アーティスティックです。 僕がサンプル・シューズを撮影してもよいか尋ねると、マチエイさんは快く了承。そしてなんと!お店の奥から、わざわざカメラと三脚を持って来て下さいました! 「い、いやいや、そこまでしてくれなくても大丈夫ですよ!自前のカメラがありますから!」 そう言って自分のデジタル・カメラを取り出す僕。 「何だ、そうかなのかい(笑)。どんどん撮りな」 あまりの親切心に、僕は思いっきり恐縮してしまいました。マチエイさん、ありがとう……。 もっとも、マチエイさんに限らず、ポーランドは親切な人が多いです。ポーランドが親日国のせいでしょうか?まあ、そんな親切な人が多いポーランドでも、夜行列車内で恐喝されたり、夜道で襲われたりする日本人もいるのですが……。 僕が撮影を始めると、店の奥にいた職人さんが現れて、僕のデジタル・カメラを後ろから覗き込んできました。突然覗かれて、驚く僕。どうも液晶モニターが珍しいようです。ポーランドで日本製品は、それだけ高級品とい事でしょうか。 「はは……いいカメラだね」 そんな様子を見て、マチエイさんは笑っていました。 |
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真ん中のコンビ・シューズを指して、僕はマチエイさんに尋ねました。 「これ、オーストリッチの脚ですか?」 「おっ、よく知ってるね。正解さ。おめでとう」 オーストリッチの脚は奇抜な斑なので、僕でも分かりました(笑)。この中央にある靴と同じアッパーの切り返しは、マテルナ靴店にもありましたね。 ヤン・キールマンでは、他にもオーストリッチ、蛇、リザード、クロコダイル、ガルーシャ、象、鮫、鮭(!)、コードヴァンと、カーフ以外の革を用いたモデルも多く、その変則的なデザインもあって非常に見栄えします。 エキゾチック・レザーの名手に、フィレンツェにはステファノ・ベーメル、ウィーンにはゲオルグ・マテルナ、そしてワルシャワにはヤン・キールマンがあり! |
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これも雪の多い土地柄でしょうか?浸水防止のためか、トリプル・ウェルトのサンプルも多いです。イタリア靴に影響を受けてのデザインかもしれません。細身のシェイプながらトリプル・ウェルトとは、なかなか変わった組み合わせです(笑)。一番左の靴のように、マッケイ製法のサンプルもあります。 |
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通気性確保のための夏用でしょうか?このようにアッパーをくりぬいた靴もありました。ライニングにのみ、穴を開けて作ったりもするそうです。一番左の靴は何の革でしょうか? |
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ワルシャワのハンドメイド・シューズで目に付いた仕様が、この上画像です。ヤン・キールマンのサイトにある、この靴もそうなのですが、出し縫いがまったく見えません。張り出しているコバに、ステッチやウィールの目付けがないと、モードっぽいルックスになって、また表情が変わるものです。 ヤン・キールマンでは、この仕様をCovered stitch(ポーランド語ではKrytopasowe)と呼んでいるようです。 「これ、どうしてウェルトにステッチが入ってないんですか?縫ってないんですか?」 「いや、インサイドに(縫い糸は)入ってるんだ」 マチエイさんに聞いてみたところ、そのようなお答えでした。 外見だけで判断する限り、製法としては、ハンドソーン・ウェルテッド製法、マッケイ製法のダブルソール仕様、ブラックラピド製法の3通りが考えられます。 そこで帰国後に、さらにメールで問い合わせしたところ、この靴には掬い縫いが入っているとの事。という事は、ほぼ間違いなく、ハンドソーン・ウェルテッド製法ですね。 このように、出し縫いをソール側だけでなく、ウェルト側からも伏せてしまうモデル、日本の職人さんが作った靴でも稀に見られますが、それでもうっすらと縫い跡が浮き出てしまうもの。ここまで完璧に隠れているのは見た事がありません。ポーランドのビスポーク・シュー・メイカーの技術力の高さを見た気がしました。 |
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左はギリー・シューズをアレンジしたのでしょうか?両方ともレディースのショート・ブーツです。 |
クロコダイルのホールカット! |
カジュアル感たっぷり!ヴィヴィッド・カラーにパステル・カラー。右の3足は、アッパーのデザインだけならレザー・スニーカーに近いかも? |
真っ赤のアッパーに白の出し縫い!機能性より装飾重視ってカンジですね。右のキャップトウはまるで英国靴!といった表情。 |
中央の靴のパーフォレイションのパターンは、ヤン・キールマンならでは! |
左のブーツも上述したCovered stitch仕様です。右はオーストリッチと象革のコンビでしょう。トリプル・ウェルトとの組み合わせはワイルドの一言! |
左はオーストリッチとカーフのコンビ・シューズ。右の靴は鮫革のようですね。 |
乗馬靴のサンプルも豊富です。足首に向かってグーッと細くなっていくラインの美しいこと! |
レディースのサンプル棚。これはほんの一部でして、実際はもっとたくさんあります。 |
こちらはハーフ・ブーツのサンプル棚。 |
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