GEORG MATERNA Full Brogue Oxford Style & Detail
ゲオルグ・マテルナ フルブローグ・オックスフォード

ウィーンの名職人、ゲオルグ・マテルナ親方のフルブローグ・オックスフォードです。僕がこれまで購入したゲオルグ・マテルナの既製靴はマッケイ製法でしたが、こちらはハンドソーン・ウェルテッド製法となっております。木釘も用いられてなく、特に注文時に指定がなければ、この製法となるようですね。これでもかと装飾されたメダリオン、パーフォレイション、ブローギングはもちろんの事、大きくせり立った甲のラインも迫力あります。抜群の存在感です。


ゲオルグ・マテルナ独特のブローギング

この「つ」の字型に大きくうねるブローギングが、デザインの大きなポイントですね。アッパーの立体感も増して、インパクトあります。
ギザの山が大きいのは、マテルナに限らず、中東欧靴でよく見られる形でして、この豪快なスタイリングと相性良しですね。ギザのエッジが鋭く立っているのも目立ちますが、これは革の目が細かいからこそ、これだけ鋭く、型を抜く事ができるのです。つまり、それだけ革質が良い証とも言えますね。
ゲオルグ・マテルナのウィングキャップ

ウィングキャップの浅いW字が、ユーモアある表情ですね。出し縫いのピッチは決して細かくなく、糸も太い物を使っております。これだけゴツイ靴に、細かいピッチ、細い縫い糸は不釣合いですから、この出し縫いで正解なのでしょうね。
竹川圭さんの著書「紳士 靴を選ぶ」にもありましたが、古くからの日本の靴職人さんも、華奢物(ドレス・シューズ)と頑固物(カントリー・シューズ)で、出し縫いのピッチを使い分けたそうです。
ゲオルグ・マテルナのトップライン

フォスター&サンと同様、マテルナのビスポークも、履き口の高さが内側と外側で異なっております。
ゲオルグ・マテルナのナンバー

タンの裏側に「4485」のナンバーが入っておりました。4485番目の注文と言う事でしょうか?
また、ライニング素材がマテルナの既製ではキッドでしたが、ビスポークでは牛革でした。
ゲオルグ・マテルナの既製履き口周り

こちらは既製のマテルナの履き口拡大画像です。アッパー、中革、ライニングの三重構造となっております。ライニングのエッジは巻き込まれてなく、切りっ放しですね。
ゲオルグ・マテルナのビスポーク履き口周り

しかし、こちらはビスポークの履き口画像なのですが、ライニングを内側に巻き込んで縫い上げた二重構造と、なぜかビスポークの方がパーツが少なくなっております(笑)。アッパー、ライニング、ともに既製より厚めなので、二重で十分という判断なのかもしれません。
通常のフルブローグの履き口周り

上画像は、旧工場製エドワード・グリーンのフルブローグの拡大画像です。ご覧のとおり、アッパー上部を走る2本のステッチのうち、裏まで貫通しているのは1本だけです。
ゲオルグ・マテルナのビスポーク履き口周り

しかし、こちらはマテルナですが、アッパーを走る2本のステッチ、双方が裏まで貫通しております。耐久性を向上させるための工夫でしょうか。
ゲオルグ・マテルナのアウトソール

アウトソールの画像です。ハウススタイルの違いでしょう、フォスター&サンのようにソールをグラマラスに仕上げる意識はないようですね。半カラス仕上げのペイントにはムラがあって、手作り感が漂います。

つま先と踵に打たれた金属プレートは、既製のマテルナの場合、約1年ほどで交換となりましたが、ビスポークは4年経った今でも、一度も交換しておりません。既製より上質の金属プレートを使用しているのかもしれませんが、フォスター&サンと同様、フィットがよろしくて、体重が分散しているせいもあるのでしょうね。そして、フォスター&サンと同様、滑りにくいソールです。既製のマテルナでは、金属プレートのせいで何度か滑りましたが、ビスポークではそのような経験がございません。



ゲオルグ・マテルナのトウメタル

トウ部分の金属補強の拡大です。既製の場合、ネジ3本で止めておりましたが、ビスポークのこちらは4本と、仕事の差が見られますね。
また、既製とは違い、「4」と言う刻印が入っておりますが、これは何でしょうか?パーツのサイズ表記かな?
ゲオルグ・マテルナのヒール

ヒールの拡大です。三つ一組の釘打ちが5か所と、さらに手の込んだ仕事です。既製のマテルナでは、こんなに釘は打たれておりません。
ゲオルグ・マテルナのロゴ

ゲオルグ・マテルナのロゴマークです。ビスポークでも既製と同じく、あっさりした刻印が入っているだけでした(笑)。
フォン・テン・ブローさんを通じて日本で展開されているマテルナは、豪華なロゴマークが入っておりますが、これはあくまで日本側の別注みたいですね。
ゲオルグ・マテルナのコバ仕上げ

コバは染色しないナチュラル仕上げ。茶色のカントリー・シューズと相性良しですね。しっかり磨かれ、ワックスのダマやムラもない、丁寧な仕事。滑らかで、艶やかな透明感が美しいです。
ゲオルグ・マテルナのチャネル処理

ゲオルグ・マテルナ チャネルソール上はアウトソールの拡大画像です。青矢印部分にある、うっすらと見える線がご確認頂けますでしょうか?これはオーストリアだけでなく、ドイツ、ハンガリー、ルーマニアと言った中東欧の靴でよく見られる、ヒドゥン・チャネルソールの跡です。

西欧や日本の靴がヒドゥン・チャネルを行う場合、上画像、または右画像の黄色矢印部分、つまり、ソール外枠から1mmほどの箇所か、コバの側面に切り込みを入れて(ドブを起こす)、その内部に出し縫いをかけます。

しかし、中東欧のヒドゥン・チャネルの場合、青矢印部分、つまり、ソール外枠から5mmほどの箇所に切り込みを入れて、その内部に出し縫いをかけます。この方法だと、
ヒドゥン・チャネルが剥がれ難いメリットがあります。


また、右の画像は、入手して4年目となっているビスポークのマテルナですが、つま先も本底もほとんど減ってないのがお分かり頂けますでしょうか。ビスポークなだけに履きやすくて出番が多く、また雨でも結構履いているのですが……やはり、恐ろしいほどの耐久力を誇っております。この耐久力重視の姿勢はソールだけに及ばず、先芯や月型芯も、とても天然素材とは思えないほどの硬さです。おそらく、相当密度を上げて、鍛え上げた革が使用されているのだと思われます。

ちなみに既製のマテルナも、ビスポークと同様のヒドゥ・チャネル処理が行われ、ソール、先芯、月型芯も同じくらい硬いです。
ゲオルグ・マテルナの購入間もない頃

しばらく使用してみて、気付いた事があります。上は入手間もない頃のマテルナの画像です。
ゲオルグ・マテルナの購入4年後

そしてこちらが、完成から4年目の画像です。ご覧のとおり、結構色が抜けております(笑)。予想外の出来事にちょっと戸惑いました……せっかくですから、これからはわざと黒の靴クリームを塗りこんで、自分なりにアンティーク仕上げを楽しもうかな?と考えております。これだけ色が抜けると言う事は、おそらくタンニンなめしなのでしょうね(タンニンなめしだと、必ず色が抜けると言う事ではありません)。

なお、僕が所有している既製のマテルナでは、こういった色あせは見られず、表面にはコードヴァンのような仕上げが施されております。ビスポークはこう言った仕上げではございませんので、既製とは違う革と言う事でしょうね。







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