Yellow ratさんご提供、今は無きシュー・メイカー
J.S.カウアドのカタログ 1910年代

Fine shoe maker catalog at New york J.S.COWARD
yellow ratさんより頂きました、今は無きニューヨークのシュー・メイカー、J.S.Cowardの1910年代のカタログです!実のところ、僕、知らないメイカーでしたので(笑)、以下のコメント、yellow ratさんからたくさん教えて頂きつつ、書きましたー(ありがとうございました!)。では、どうぞです!



オーソペディックも意識したメイカーのようで、腱膜瘤ポケットのある靴や、アーチサポートについての記述も見られますね。また、トウシェイプもオーソドックスなオーヴァル・トウと、大昔の直向木型(左右の区別の無い木型)によって作られた靴のトウシェイプの名残を感じさせるスクエア・トウ、2ライン用意されているのも特徴でしょうか。

ウィズ展開も豊富。オールデンやアレン・エドモンズといった、現在も残るアメリカの高級既製靴も、ウィズは数種類ありますし、アメリカの矜持をビンビンに感じる〜。靴にウィズという革新的概念を採り入れたのは、ニューヨークのアメリカ人、エドウィン・E・シンプソンでした。彼は、1880年に、初めて、ハーフサイズ(1/6インチ)という概念を導入し、それまで殆どの靴が1つのウィズしかなかったのですが(ただし、一部の高級既製靴にはスリムとワイドという区別はあったそうです)、木型の算術的割り出し方式の着想(長さ1フルサイズ増加するごとに、あるいは、同レングスで1ウィズ増加するごとに、ボール・ウェスト・インステップなどの回り寸法は、1/4インチ増加する)によって、より良いフィット感を追求しました。

素材にカーフだけでなく、キッドも使用しているのも目を引きます。僕が以前に見たことのある、昭和初期の日本の高級靴メイカー(大塚製靴だったかな?)のカタログでも、一つのモデルにつき、キッドとカーフ、2種類が展開されておりました。当時は、これが普通だったのでしょうか? ちなみに日本の場合は、キッドの方がやや割高でした。

yellow ratさん、貴重な史料のご提供、どうもありがとうございました!

※ それぞれの画像をクリックして頂ければ拡大画像が出ます。
J.S.Cowardのカタログ、表紙
J.S.Cowardのカタログ、メンズ

同じモデルでも、ファイン・カーフ/キッド、フレンチ・カーフ、ファイン・フレンチ・カーフ、そしてファイン・ラセット・カーフ/キッドと素材違いがありますね(yellow ratさんによると、ラセット=赤茶だそうです)。キッドの場合は、light upperとも書かれております。キッドには、"Fits the foot like the glove on the hand"という標語があるだけあって、キッドの方が軽くて、履き心地は良!ということでしょうか?

左の靴の製法は、ソーンウェルテッド製法(Sewed Welt)、ハンドソーンウェルテッド製法(Hand Sewed Welt)、Strictly Hand Made(フルハンドメイド?)となっております。Strictly Hand Madeは7ドルで、一番高いですね。ソーンウェルテッド製法=グッドイヤーウェルテッド製法と解釈して良いのでしょうか?
右の靴は、コンビネーションラストで作られているようで、8Dの靴のインステップガースとヒールガースはBウィズになっていると書かれておりますね。コンビネーション・ラストという概念は、かなり昔からあったようですね?
J.S.Cowardのカタログ、若者・ボーイズ

こちらはボーイズ・子供(男)向けの靴。年齢別・性別で、靴のサイズは分類されていますね。素材はファイン・カーフ、ファイン・ボックス・カーフとなっております。ファイン・ボックス・カーフは、ボーデッド仕上げ(揉み仕上げ)の手間の分、ファイン・カーフよりも値段がやや高めなのでしょうか?

右の靴はオーソぺディックシューズ。The sole is as wide as our Coward Good Sense Toe, and made with a slight twist after the Bull Dog fashion(ソールは、広めのトウで、ブルドック・トウ風に、少し湾曲して作られている?)、と書かれておりますね。
J.S.Cowardのカタログ、レディース

レディースだけあって、細身に仕上がってますね。素材はファイン・ブラジリアン・キッドとファイン・スイス・キッド、そしてエクストラ・ファイン・スイス・キッドとなっております。キッドにも、何か違いがあるようですね?

製法は、ハンドソーンウェルテッド製法とターン製法(Hand Turns)となっております。ターン製法とは、1枚底の屈曲性の良い靴で、甲と底を裏返して木型に釣り込み、縫い合わせ、木型を抜いた後、甲と底を裏返して表側を出し、木型に入れ直す製法です。Slipper Solesとも書かれております通り、インソールのない靴です。
J.S.Cowardのカタログ、幼児向け
そして乳幼児・子供(女)向けの靴。こちらは、素材はキッド、ファイン・キッドのようです。乳幼児の靴にも、ウィズがBからEEまで展開されているのは驚きですね! 足の形や大きさが、ほとんど完成されるのには、18歳くらいまでかかるそうですが、特に生後3年間は、生涯のどの期間よりも早く成長するため、靴のフィット性とデザインの選定には、細心の注意が必要ですね。
J.S.Cowardのカタログ、オーソペディックについての記述

"Bunion"=腱膜瘤(腫脹と痛みとがある母趾側の粘液嚢の炎症。外反母趾に伴って起こるのが通例ですが、それ自体で起こることもあります)のある足向けに、ボールジョイントに膨らみのある靴。また、ジャーマンシルヴァー製のアーチサポートについての記述がありますね。



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