チャーチのトップレンジ、マスタークラスです。コバが少々ハリ気味で、チャーチらしい朴訥とした風貌、悪く言えば面白味がありませんが、その分、色んなスタイルに合わせやすいですね。6アイレットがさりげない特徴となっていますが、どうもマスタークラスですと、6アイレットが標準仕様みたいです。他に特徴としては、マスタークラス専用の35ラスト、そして赤紫色のライニングでしょうか。ライニングと言えば、チャーチの場合はキャンバス素材を使用しているものが多いですが、こちらはレザーとなっています。
アッパーに使用されている革は、通常ラインのカスタム・グレードよりもずっと良いものです。マスタークラスにはAmbassador
Calfと呼ばれる革と、Liege Calfと呼ばれる革の、いずれかが使用されているようですが、このIBSENにはLiege
Calfが使用されています。この二種類の革の違いについては、見比べた事がないので分からないのですが、僕としては、Liege
Calfは硬いながらも厚く、耐久性がありそうな印象を受けています。また、光沢の具合も鈍い透明感があり、独特ですね。
高級靴ですと、アッパーとライニングの間にもう一枚、革が挟みこまれているものが多いですが、このマスタークラスには、それがありません。しかし、それが不必要な程、このマスタークラスの革は厚いですね。ソールに関しても、レザーソールの割には滑りにくく、とかく“実用靴”として高く評価されるチャーチの実力が、こういったところでも感じられます。
非常に良い靴だとは思いますが、チャーチ社がプラダに買収された事もあってか、現在は廃盤となってしまいました。とても残念です。
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